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十番だより 平成19年1月号 4頁
平成19年1月1日発行 麻布十番商店街振興組合広報部
副編集長が聞く!
-シリーズ《十番ルネッサンス》その4-
 麻布十番商店街の歴史を改めて振り返り、より良い未来を語り合う場所になることを願ってこの連載を開始しましたが、たくさんの方々が広報部に反響を寄せて下さっており、一同喜んでいます。『十番だより』は決して広報部員だけが制作するものではなく、お客様のことを第一に考える商店街組合員一人一人の温かい心が部員をサポートし、紙面となって反映されるものだということを、強く感じています。新しい年を迎え、本紙が「商店街のみんなで作る広報紙」として益々お客様へのサービス向上に繋がるよう、祈念します。
麻布十番商店街の変遷②
 亀澤堂のご主人葭原(よしはら)昭一さんから、貴重な資料が西本さん(総合洋品ニシモト代表取締役)に届けられました。前月号で掲載した「昭和初期~昭和15年頃の麻布十番商店街地図」の出典である『十番わがふるさと』(稲垣利吉氏著)のコピーです。同書は昭和50年代に僅かの部数で刊行され、残念ながらほとんど現存していない稀少な本です。
葭原さんのご好意を活かし、これから何回かに分けて同書の内容を原文のまま引用させて戴きつつ、西本さんのお話を伺って行くことにします。
再スタートは、無人の焼け野原から!
『十番わがふるさと』を拝読しましたが、素晴らしい資料ですね。著者である稲垣さんは、どのような方だったのでしょう?
公式なプロフィールは残されていませんから、詳細については先輩方に伺うしかないと思います。私が知っているのは、昭和初期に創業したと思われる「稲垣油店」のご主人であり、確か昭和40年(1965年)頃まで営業されていたということくらいです。
後ほど詳しく伺って行きたいと思いますが、稲垣さんは商店街の復興にも、相当な熱意で取り組んでおられたようですね。
現在の商店街振興組合の骨格を作り上げた最大の功労者であり、精神的な支柱であった先輩としては、松浦徳市さん(白水堂)のお名前を挙げるのが妥当だと思いますが、稲垣さんは、松浦さんや初代理事長となった木村政吉さん達と共に、組合の立ち上げに献身的な努力を捧げられたと伺っています。
さて、新年早々、衝撃的な写真を公開することになります。
久し振りに拝見しますが、確かに、凄い写真が残ってましたね。『撮影者は木島博男氏(現在麻布十番一の五在住)。』とあります。
タイトルは『焼土無惨!』とあり、説明文として『国破れて焼土あり。まことに痛ましい光景である。昭和二十年四月十五日午後十時頃B29の大空襲を受け一面焼トタンの原と化した。これは当時の新網町一丁目辺より撮影した貴重な写真です。』と書かれています。その後も空襲は続き、5月25日には、残っていた善福寺山門や山元町あたりも焼失したようです。この写真をご覧になって、どのような感想を持たれますか?
最も強く感じることは、現在の商店街が、まさにこの何も無い、誰も居ない焼け野原から再スタートしたんだという感銘です。
何が復興の原動力となったとお考えですか?
個々のお店の意欲というものも勿論ですが、一番重要だと思うのは、「商店街で一丸となって取り組むのが最良である」と判断した先見の明が、先輩諸氏にあったことだと考えています。
では、その点を意識しつつ、復興当初の様子を振り返って行きたいと思います。
復活第一号は、岩田園(茶舗)
先ず、「誰が最初に立ち上がったのか?」ということに興味が湧きますが、それに関して次のような記述があります。『なお焼け野原から第一番に開店した草分けの人をご紹介しよう。一木一草もない瓦礫の山の十番で敢然と奮起し、その商魂を最初に発露した人は、十番通りの茶舗の岩田園の元店主岩田政太郎氏とふみ子夫人であった。現在の所に焼跡からヤケトタンやヤケ材を拾い集め、知人の大工さんに材木をわけてもらい、雨露を凌ぐだけのバラックを建てた。そして東京都から委託されていた保存食品(乾物類)配給所として使命を立派に果たしたのである。』(中略)
『岩田さんがバラックを建てたその向かい側に、縁日の店のようにゴザをしいて本をならべ、商売を始めた人がいる。現在の崇文堂書店の斉藤つる女史である。当時51才の女史は神田と十番の間を重い本を背負って毎日往復していた。』
焼け跡には一本の電柱も残っていなかったけれど、地中には残骸が埋まっていて、岩田さんはそれを掘り出して苦労の末に丸太の椅子を作り、店に置かれていたそうです。
後年に岩田園前で撮影された写真があり、タイトル・説明文共に、そのまま転載しておきます。日付は昭和53年(1978年)となっていますが、その年、岩田さんは91歳になっておられた筈です。
さすが、最初に復活の狼煙を上げた人だけあって、ご高齢でも凛とした雰囲気が漂い、感嘆しますね。
まだお話しを伺い始めたばかりですが、続きは次回とさせて戴きます。
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