麻布十番の店主が語る 十番ばなし #011 「豆源」 柴田 元気さん | 麻布十番商店街

十番ばなし

麻布十番の店主が語る 十番ばなし #011 「豆源」 柴田 元気さん

大事なのは変化をしながら 長く続けていくこと

 

 

 

―商品数が豊富ですね、どのくらいありますか。またどんな商品が売れ筋なのでしょう

 

種類は50〜60くらいですね。本店では実演販売で、できたてを召し上がっていただくことを優先しているので、その時に実演しているものが売れます。

 

 

―柴田さんが社長になられたのはいつ頃ですか。慶応元年から続く老舗を継ぐのはプレッシャーもあったのでは

 

私が大学三年生の時に父が他界し、大学卒業後1年ほど海外に行った後、社長を務めていた母をサポートしつつ、20年ほど前に6代目を継ぎました。プレッシャーはまったくありませんでしたね。継がないという選択肢もあったのを、自分が好きで継ぎましたから。

 

 

―6代目となってこれまでで印象に残ったお客様はいらっしゃいますか

 

ある時、中高年の女性のお客様から「商品の味が変わった。社長に電話をよこすように伝えてくれ」と連絡がありました。電話をすると「あなたのお父さんと中学校が同じで、昔からそちらで買物しているが、いつも買う商品の味が変わった。なにをやってるんだ」と怒られたんです。商品の中には仕入の物もあり、家内工業で跡継ぎがないため廃業する取引先もあります。こちらは同じ味で続けたくても装置や場所の関係で自社製造が難しいものは、仕入先を変える場合もあるんです。
私はクレームをもらってなんぼだと思っていますから、そういう指摘をくださるお客様は大切です。電話でひとしきり文句を言うだけで二度と買わないとか、何も言わずに買わなくなるのが普通ですよね。でもわざわざ連絡をしてくださったんです。事情を聞いたそのお客様にも「なおざりにする会社が多いのに、あなたはちゃんと電話をかけてきた」と褒めていただきました。その時、多量でなくても確実に買うお客様のいる商品は続けていこうと思いましたね。

 

 

―クレームをプラスに変えたんですね。これからお店を変えようと思うところはありますか

 

主体的に変えるのでなく、時代や社会の環境に合わせていくことを考えます。ただ続ければいいわけではなく、変化しながら続けていくことが大切だと思います。これだけ長くやっていると、商売を続けることに一つの意味があります。観光地なら確実にある程度の数のお客様が見込めますが、ここはどちらかと言えば地域の方が使う街なので、長く続けるのは大変ですが、それによって色々と見えてくることがあったと今は思います。

 

 

 

 

住民と商店のつながりが強いのが この街の長所

 

 

 

―もうすぐ節分ですが豆源さんはとても忙しい季節ですよね

 

最近あまり豆まきをやらなくなっていますよね。節分の売上げは皆さんが思うほど多くないんです。毎年まとまった注文をいただくところは、縁起物を大事にしているお店など決まっていて、一般の方の購入は少なくなりました。ただ、2月3日は福沢諭吉の命日なんです。なので毎年、慶應義塾の幼稚舎から大学の生徒さんまで、元麻布の善福寺でお墓参りをした後、雨が降ろうと雪が降ろうと必ず毎年いらっしゃいます。
本店が最も忙しいのは年末年始のほか、お彼岸です。それは商店街の他店舗も同じだと思います。

 

 

―お彼岸が忙しいのはちょっと意外ですが、お寺などが多い、麻布十番の街ならではですね。街の魅力はどこにあるとお考えですか

 

商売をやめてしまった方や外からいらした方もいらっしゃるとはいえ、商売をなさっている皆さんが、地域の住人でもあるのは他の繁華街とは違うところですよね。だから学校が同じだったとかリアルな関係もあったり、店舗と住民のつながりが強いと思います。そういう街は地方にはまだあるかもしれませんが、東京では少ないでしょう。
チェーン店などが少ない点も画一的でなくいいところです。それも住人が商店街に住んでいる理由が大きいんじゃないかな。こういう特徴がなくなると麻布十番でなくなってしまうので、そこは大切にして、変わらないでほしいです。

 

 

―お店も街もいいところは保ちつつ、時代とともに変化するのがいいかたちかもしれません。ありがとうございました。

 

 

 

豆源

 

豆源

慶応元年(1865年)創業。東京スカイツリーのソラマチタウンや主要な百貨店にも店舗を持つ。豆菓子と米菓のほか和菓子なども扱っており、麻布十番の本店では、実演販売を行っている。季節限定や本店限定の商品なども。
港区麻布十番1-8-12
TEL:03-3583-0962
10:00~20:00
火曜不定休

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