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十番ばなし

麻布十番の店主が語る 十番ばなし #003 「アトリエ プチレダ」阿部 緑さん

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―ブライダルやぬいぐるみ事業など幅広く手がけていらっしゃいますが、オープンした時はどんなお店だったのでしょう

昭和62年に、日本にほとんどなかった英国のリバティプリントを直接買い付け、子供服のオーダーと小売の店を始めました。4年ほど経って、子供服のスタイルが変わってきたと感じたんです。うちみたいなお出かけ着でなく、カジュアルな服が主流になった。同じ頃、ウエディングドレスはそれまでのレンタル中心から、アメリカから購入する方が増えて、寸法直しの需要が高まっていました。店では職人さんを抱えていたものですから、そこでウエディングに方向を変えたんです。。


―職人さんをそのままに、商品を変えたんですね。アニバーサリーベアやウェイトドールも有名ですが、ぬいぐるみの工房も区内にあるとか?日本製への想いはありますか

ア二バーサリーベアは、ドレスの残布で作った花嫁と同じ服のぬいぐるみをサービスしていたのが最初です。それが知られて、次にウェイトベアを始めました。実はアジアに縫製を出したこともあります。確かに安くて早いというよさはあるのですが、縫製の質や小ロットで出せないなど不満があった。ここで作れば少量の注文に対応できるし、いけるんじゃないか、と工房を構えたんです。



―ドレスもぬいぐるみもメイド・イン・ジャパンですね。日本のウエディング業界にも長く関わって、変わったと思うのは?

そうですね…これまで新品のドレスを15~20万円程で購入される方が多かったのが、ここ2、3年は披露宴の数も減って、皆さん節約するというか、お金の使い方のバランスが変わったのかもしれません。もう一生に一回だから奮発して、っていうのがなくなった。ネットやセールで3万円以内で安く買う方が多いです。今までみたいに新品が普通ではなくなった。前の結婚式のドレスを使う方もいらっしゃったんですよ。新郎さんも「あ、OKです」って。そうかと思うと100万円以上するベラ・ウォンのドレスもすごい人気があって。二極化しているように思います。それと皆さん、結婚を転職と同じように気軽に切り替えるっていうんでしょうか…そんな気がしますね。

  

 

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―阿部さんが麻布十番に来た時はどんな印象でしたか、今とは違いますか

昭和42年にこの商店街の飲食店に嫁いで来た時は、とても庶民的で下町的な気質がありました。結婚した時は義理の母とふたり着物を着て、雨の中で番傘を差して、嫁の○○です、と私の名前を書いたご懐紙を持って商店街を回りました。15年位前、息子が結婚した時も、着物こそ着ませんでしたが、私がお嫁さんを連れて行ったんですよ。いつからかその習慣はなくなりましたけど、今でもご近所づきあいは平和ですよね。こんな都会なのに庶民的。今、十番の街はブランドになってますね。十番にあるお店だから大丈夫、信用できるというイメージで来られる方が多いです。


―日本的な情緒と、十番の街の伝統を感じるお話ですね。そんな十番ブランドを担うお店として、大切にしていることはなんですか


愛情をもって一針一針、心を込めて作っていきたいです。そして糸を紡いでいくように、人との縁を紡いでいくことを大切にしたい。実際に、従業員には娘の幼稚園の先生をしていただいた方や、親子2代でアトリエを支えてくれている方、更には、10年ほど前に始めた結婚相談所で決めた方の息子さんがいたり、色々な縁があって成り立っています。これからもそれをしっかりとつなげていきたいですね。

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アトリエ プチレダ

ウエディングドレスのオーダーやお直し、リメイク、思い出のドレスの真空パックに加え、結婚式のプロデュースや装花までを請け合う。アニバーサリーグッズや浅田真央の衣装を再現した商品、また新郎新婦の生まれた(誕生した)時の体重をぬいぐるみで再現するウェイトドールも製造・販売している。

港区麻布十番2-20-14-101
TEL:03-5439-4407
10:00~19:00無休
»店舗情報はこちら

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