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十番ばなし

麻布十番の店主が語る 十番ばなし #037
「国際音響電機製作所」根本侑さん・誠司さん

 

都営大江戸線の麻布十番駅からほど近い場所にある、国際音響電機製作所。最近はめっきり減ってきた“街の頼れる電気屋さん”です。「電化製品に関して困ったことがあったらまずはここに頼る」という街の人も少なくありません。電気工事に使うパーツ類がうず高く積まれた入口は、一見、入りづらいかもしれませんが、その壁を越えれば、根本侑(すすむ)さん・誠司さん親子が優しい笑顔で出迎えてくれます。

 

 

 

— 店名から推測するに、音響などに関わるお店ですか?

 

(3代目)誠司さん:いえ、エアコンの取り付け・取り外しや配線などの電気工事、「照明が点かない」などの電灯やスイッチといった電気器具の不具合を修理する仕事を請け負っています。電気ポットや携帯の充電ケーブルなどご家庭や会社で使う電化製品の販売などもしていますが、仕事の多くは電気工事関連になります。

 

 

― 創業はいつ頃ですか?

 

(2代目)侑さん:東麻布の東京タワーの下あたりで、私の父が開業したのが戦前のことになります。「二・二六事件」はご存知ですか? 1936年に陸軍の青年将校が政府の要人を襲撃したクーデター事件です。この時に「兵に告ぐ」と、襲撃した兵士たちに呼びかけるラジオ放送が流れるなどして、その結果、兵士のほとんどが投降して事件が終結しました。その呼びかけはレコードに録音されていたのですが、それを作成したのが、私の父が勤めていた国際音響電機製作所という名前の会社でした。会社が廃業することになった際、独立を決めていた父に、社長から「せめて会社の名前を残したいので、名前を継いでもらえないだろうか」と頼まれて、この名前になったと聞いています。当時「国際」と名のつく店はほとんどなく、住所を書かなくても店名を書いただけで郵便物が届いたんですよ。現在の場所に移ったのは、昭和25年。麻布十番には75年弱、お世話になっています。

 

 

 

 

― とても歴史のあるお店なんですね。お客様はこの周辺の方が多いのでしょうか。

 

誠司さん:そうですね。麻布十番で買い物されている方が「家の◯◯の調子が悪くて困ってるんですよ」なんて話をされて、お店の方がウチを紹介してくださるということもよくあります。ウチのような電気屋さんがもう1軒あったのですが、先日電気仕事から引退されたので、麻布十番で残っているのはウチだけになってしまいました。麻布十番はお店が多いですから、照明がつかなくなったというだけでもおおごとです。営業できるようにすぐに駆けつけたり、お店に差し障りがないように開店前や休憩時間内に作業をしたり、できるだけお客様のご都合に配慮するよう気をつけて仕事をするようにしています。

 

 

― 場所柄、個人宅だけでなく、事業所などからの依頼もあるんですね。

 

誠司さん:そうですね。店舗だったり、会社や学校にも行ったりします。学校は広いですから電灯などの数も多く、不具合もよく起きるので、毎月出かけることもあります。たまに「おじいちゃんの頃からずっと頼んでるのよ」とおっしゃる方もいて、ありがたいですね。
侑さん:「麻布十番の外には住めない」って言う方も多いですからね(笑)。お客様も私もお互い年を取って「ここが悪い、あそこが痛い」なんて話をしながら、長くお付き合いさせていただいています。

 

 

 

 

― どんな依頼が多いのでしょうか。

 

誠司さん:「スイッチを押しても何も反応しなくなっちゃった」というご相談が多いですね。電化製品は頻繁に使うところが摩耗しやすいので反応しなくなることがよくあるんです。エアコンが故障した現場は、当たり前ですがクーラーのないところで仕事をしなければいけないので、最近の夏はとても暑いですから大変です。ネッククーラーを巻いたりして作業しますが、効果が持続する時間内に仕事が終わらないこともあるので熱中症には気をつけています。

 

 

― 最近は電気代が高騰していますが、電気店からみて、私たち使い手が気をつけた方がよいことはなんだと思われますか?

 

誠司さん:電気をつくるのに必要な燃料の高騰などが原因で基本料金が上がってしまっていますから、ご家庭でできることは限られてしまうかと思います。大きいのは、省エネ家電を使うことでしょうか。昔の製品は効率が悪いので、家電は10年を目安に新しいものに変えることを考えるとよいと思います。

 

 

 

― これまでを振り返って印象深かったお客様や出来事はありますか?

 

侑さん:いろいろありましたよ。ただ特定のお客様というよりも、修理に伺って、壊れた物が直ったときに喜んでいただけたことがやはりいつも嬉しかったですね。昔はね、「医者と電気屋はもらい乞食」なんていう諺があったくらい、修理に出かけるといただきものをしたものです。お医者さんの家に行った時には、お医者さんがもらったものをさらにもらったりね(笑)。

 

 

― お店としての今後の抱負をお聞かせください。

 

誠司さん:昔は職人さんを何人も雇って、手広く仕事を請け負っていましたが、父も高齢になって事業も縮小していて、今は私一人で依頼を受けている状態です。たくさんの仕事を一気にお引き受けすることはできませんが、お客様の困りごとに寄り添って、一つひとつの仕事に丁寧に対応して頑張っていきたいと思っています。

 

 

― 商店街について、課題や抱負を教えてください。

 

誠司さん:今、麻布十番商店街の青年会長を務めていますが、若い世代が少なくなっているのが課題です。それでもやはりこれまで通りの活動を続けていきたい。そうなると必要なのが、人手です。以前、麻布十番商店街ファンクラブのようなものをつくって、街に住んでいない人でも街のイベントに関われるようなシステムをつくりましたが、それを運営する人手すら足りない。私を含めて若手が数名しかいないので、運営に関わってくれそうなスタッフを現在募集しています。何かアイデアを持っていたり、商店街の運営に興味がある人がいたらぜひご連絡ください!

 

 

 

― 最後に、麻布十番商店街への思いをお聞かせください。

 

誠司さん:今ちょうど商店街の代替わりが進んでいるところだと感じています。前の世代と若い人たちとで意見がぶつかることもありますが、一杯飲んだりして交流しながら、少しでも今の時代に沿うようなかたちで展開できればいいなと思っています。お店同士が仲良く共存して、より良い未来をつくっていきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国際音響電機製作所

戦前から続く、古参の電気店。電気製品の販売と電気工事を請け負う。「照明がつかない」「スイッチが入らない」などの電化製品の修理や電気の配線など、「電気の困りごと」に対応。現在は2代目の侑さんから3代目の誠司さんへとバトンをつないでいるが、2代目もまだまだ外に顔を出してお客様との親交を図っている。

 

住所:東京都港区麻布十番1-9-8

電話:03-3582-1991

営業時間:9:00〜21:00(日によって変更する場合もあり)

定休日:日曜(依頼によっては変更する場合もあり)

 

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