
麻布十番商店街にある「麻布十番調剤薬局」は、処方箋調剤を軸にしながら、まちの人たちの暮らしに寄り添っている薬局です。なんと週に7日、日曜・祝日も営業し、オンライン服薬指導や薬の配送、処方箋事前予約など、新しい仕組みも積極的に取り入れながら、利用しやすい店づくりをしています。開局から約10年。「便利に使ってほしい」と日々店を開いています。


― 薬局を始めたきっかけと、麻布十番とのご縁を教えてください。
正直に言うと、最初から麻布十番に強い思い入れがあったわけではありません。港区にこだわっていたわけでもなく、麻布十番というまちのどこかを気に入ってスタートしたということでは残念ながらないんです。物件探しを含めて、本当に「たまたま」ご縁があった、というのが実情です。
ただ、実際にここで店を構えてみると、外から見ていた印象とはずいぶん違うまちだと感じました。それまでは麻布十番というと観光地や商業地のイメージが強かったのですが、実際に来てみると、昔からこのまちで暮らしている方がとても多い。長く続いているお店もあり、生活の匂いがしっかり残っているまちだな、と感じました。そこに新しいお店や外国籍の方、観光客の方などが加わって、とても多層的で、多様なまちだなと思っています。

― 開局から10年ということですが、どんな方が来局されますか。
本当に幅広いですね。小さなお子さまからご高齢の方まで、男女問わず、まさに老若男女です。地元の方々はもちろん、海外から旅行で日本にいらした方などもいらっしゃいます。そうした方々の場合は日本の保険証をお持ちではないので、少しやり取りがいつもと異なったりはしますね。そうした背景もあって、取り扱う医薬品の種類はかなり多いのではないかと思います。客層が幅広い分だけ、必要とされる薬もさまざまですし、説明の仕方やサポートの仕方も一律ではいきません。大変な部分もありますが、やりがいのあるところだとも感じています。


― 週7日、日曜・祝日も営業されていて驚きました。大変ではないですか?
開局した当初、近隣には大手のチェーン薬局が数多くありました。その中で後から出店する以上、何かしらの強みがなければ、存在を知ってもらうことすら難しい、そう考えていました。最初から祝日まで営業していたわけではありませんが、日曜日は開局当初から開けていましたね。2025年は12月31日まで店を開きました。これは遅い時間までやっている理由でもありますが、「いつも行く薬局が開いてないから、開いてる薬局に行こう」という、最初の来店のきっかけをつくりたかったからです。他の薬局がやっていない時間に店を開けたことで、手応えを感じることができたので、その後、祝日も営業するようになりました。
― 麻布十番ならではの利用シーンはありますか。
やはりこのエリアは忙しくされている方がとても多いように感じています。病院に行った後に次の予定があったり、思ったより診察が長引いてしまったりして「今日は薬局に寄れない」ということってありますよね。忙しくされている方は、特にそうしたことが多いのではないでしょうか。処方箋が出された当日ではなく、後日、受け取りに来られるケースは多いですね。処方箋には使用期限がありますから、期限ギリギリになって慌てて来局される方もいます。これは麻布十番に限ったことではありませんけれど、そういうときに、日曜や祝日も開いていることでお役に立てているのかなと思います。
―「一番開かれた薬局」というモットーを掲げていますが、そこに込めた思いは?
「調剤薬局」と聞くと、「処方箋がないと入ってはいけない場所」というイメージを持たれがちですが、そうではなく、もっと気軽に使っていただきたいと思っています。処方箋がなくても、ふらっと立ち寄って相談していただいて構いませんし、電話でのお問い合わせも歓迎しています。
また、営業時間をできるだけ広く取り、在庫もなるべく多く揃えることで、「来たけれど在庫がない」という状況を減らしたい。すべての薬を置くことはできませんが、できる限り間口を広くしておくことが、「開かれた薬局」につながると考えています。

― 「処方箋の事前予約」というのはどんなサービスですか。

調剤の際は、どうしてもお客様にお待ちいただかなくてはいけません。事前に処方箋の写真を送っていただくことで、来局時には薬ができている状態に近づけることができます。患者さんにとっては待ち時間を有効に使えますし、薬局側としても待合スペースの混雑を避けられる。双方にとってメリットがある取り組みだと思います。実際、利用される方は年々増えています。また粉薬やシロップなど、特にお子さんの薬は準備に時間がかかるため、待ち時間が長くなりがちです。少しでも体感時間を短くし、薬局に来る体験が前向きなものになればという思いから、スタッフの提案で「ガチャガチャ」を店内に置いており、お子さん連れの方からご好評いただいています。
― 個別対応について、準備したり意識したりしていることはありますか?
現在は実際の利用はありませんが、服薬支援ロボットのような仕組みも、必要な方がいればすぐに対応できる体制は整えています。飲み忘れや過量服用を防ぐためのサポートですね。また、錠剤が飲みにくい方への形状変更の提案や、一包化など、患者さんの状況に合わせた対応も行っています。「処方箋は引き換え券」という感覚ではなく、相談する場所として使っていただけたらと思っています。
― 利用者の声をどのように生かされていますか。
いただく声は、とても大切にしています。「薬を手渡す場所の手元が暗くて見えにくい」という声があったので照明を追加したり、「名前で呼ばれたくない」という方に対しては番号での呼び出しに対応する。数は多くなくても、必要としている方がいるなら、できることはやりたいと考えています。良い評価は励みになりますし、至らない点の指摘は改善のヒントになります。目を背けずに受け止めることで、少しずつ薬局としての質を高めていければと思っています。

― 麻布十番というまちと、薬局のこれからについてのお考えを教えてください。
新しいビルが建ち、まちは少しずつ変わっていきますが、昔ながらの雰囲気や商店街の良さは今のまま残ってほしいなと思っています。一方で、私たちのような新参者がまちに加わることや、新しい文化が醸成されていくことも自然な流れだと思うので、その両方が共存するまちであってほしいですね。
薬局としても、新しいことはまずやってみる。やってみて、改善して、必要でなければやめる。その姿勢を大切にしながら、このまちで暮らす人たちの生活に、これからも寄り添っていきたいと思っています。

麻布十番調剤薬局
「麻布十番で一番開かれた薬局」を目指して「週7日営業」している処方箋調剤薬局。また保険制度の範囲内にはなるが、在宅医療への対応や薬の配送なども行っている。店舗内では、市販の医薬品や保存食をはじめとした防災用品、スキンケア用品などの商品も扱う。
住所:東京都港区麻布十番1-7-1 ヨーロッパハウス1階
電話:050-1720-6387
営業時間:(月火木金土曜)8:15〜20:00
(水曜)9 : 30 ~ 20 : 00、(日曜)9 : 00 ~ 18 : 00、(祝日)10 : 00 ~ 18 : 00
定休日:年末年始・その他不定休