麻布十番の店主が語る 十番ばなし #019 「紀文堂」 須﨑正巳さん 須﨑雅紀さん | 麻布十番商店街

十番ばなし

麻布十番の店主が語る 十番ばなし #019 「紀文堂」 須﨑正巳さん 須﨑雅紀さん

麻布十番商店街で1世紀以上も愛されている紀文堂のお菓子。どこかほっとさせてくれる和の店構えで、中では看板商品のワッフルや人形焼き、かわら煎餅を板敷の仕事場で作る様子がガラス越しに見える。 紀文堂の名前は、のれん分けされた浅草の紀文堂総本店がもとは両国にあり、そこが紀伊国屋文左衛門が使っていた場所だったというのが由来。そんな歴史ある和菓子店の3代目・須﨑正巳さんとその息子で4代目の須﨑雅紀さんに紀文堂、そして麻布十番のお話をうかがった。

 

 

 

安心してもらえる味をこの先も守っていきたい

安心してもらえる味をこの先も守っていきたい

 

―創業106年目という紀文堂さんの変遷を教えてください

 

正巳さん:明治の43年に、浅草の紀文堂総本店からのれん分けをされ、初代がここで店を始めました。最初はかわら煎餅の店で、それから人形焼きが大正時代に始まって、昭和30年代に2代目が最初にジャムのワッフルを始めて。
仕事場を見せるようになったのは、4、50年前にビルを建替えた時からです。

 

 

 

―どんなことを大切にして、長くお店を営んでらっしゃるのでしょう

 

正巳さん:まず味を守ること。長く通ってくれるお客様は味にも敏感だから、「ちょっと甘くなったんじゃない?」なんてすぐ言われちゃうんでね。
そうは言っても昔より甘さは控えめになっているし、“改良”はしています。小麦粉もきめが細かくなってて、なめらかになったぶん、ワッフルは生地がフワっとなっているし。
雅紀さん:卵も十数年前から黄身が濃くて味の良い奥久慈の自然卵にしていて。味を守るのはおいしさを守るということで、材料を変えておいしさが増すなら迷わず変えています。でも材料費が上がっても商品の値上げはなるべくしません。うちの商品は10円、20円の違いが大きい気がするんで。それに年間を通して味を変えることはないです。夏場に甘さを増やす店もありますけど、水分を調整して甘さは変えません。

 

 

―愛されるおいしさを守っているんですね。お二人は3代目と4代目としてお店を継いだわけですが、それに対して決心や抵抗はなかったんですか

 

雅紀さん:決心はなかったです。兄がいて、兄弟二人の内どちらかが継げばいいんじゃないかと思ってて。子供の時からモノ作りが好きだったというのもあったり、なんとなく俺だろうなと。小さいときから自分のほうが店を手伝ってもいたので。
正巳さん:そういう環境に生まれ育ってるから、自然とね。
雅紀さん:そう、お父さんは兄弟に男が一人で選択の余地がなかったから…。

 

 

 

 

製造過程を見せることが信頼を生んで

製造過程を見せることが信頼を生んで

 

―麻布十番には新しい菓子店も増えていますが、他との違いはどこにあると考えますか

正巳さん:手焼きにこだわっているところ。機械で作るとなると生地をかたくしなきゃいけないから、皮をあまり柔らかくできないし、思い通りの味にならないんです。
雅紀さん:作っているのが見られるのは違うところじゃないかな。材料も何もかもが見えるから、安心して子供に食べさせられるっていうお客様も多いんですよ。
そういう店は珍しいからか、小学校の社会科見学ではうちの製造風景を見に来るんです。俺も来ました。

 

 


―自分の家に見学に来るというのはレアですね。麻布十番育ちらしいお話です。子供時代お二人はどんな風に遊んでいたんでしょう

 

正巳さん:そうね、子供の頃は広場や空き地が沢山あって、そこでよく野球をしてました。
雅紀さん:駐車場でサッカーや野球をしたり、今ミッドタウンにある檜町公園の池で釣りをしたり。

 

 


―檜町公園はミッドタウンで再整備されちゃいましたね。雅紀さんは、麻布十番商店街理事と青年会の会長を兼任しているそうですが、お二人の街への想いを聞かせてください

 

雅紀さん:商店が頻繁に変わって、地元の人が知らない内になくなることも多いので、もう少し定着するといいかな。せっかく商店街が積極的に活動しているから、横のつながりを大事にして、イベントを利用してもらえれば認知度も上がると思うんです。
正巳さん:古い商店がなくなって新しく店ができても飲食店がほとんどだから、雑貨屋さんとか生活に密着したお店がもっとできてほしいよね、この街は住んでいる人が多いんだから。

 

 


―麻布十番の街のコンセプト“住み続けたい街”にもつながります。最後にこれからの紀文堂についてお聞かせください

 

雅紀さん:作っている風景を表から見えるようにして、焼きたてをお客様に手渡しできるようにしたい。それと今使っている材料を活かした新しいメニューも考えていくつもりです。
正巳さん:せっかく4代目まで続いたんだから、5代、6代と続いていけばいいなあ、と。長く続いている店ってことでお客様にも安心してもらえるしね。

紀文堂

 

紀文堂

列ができることもあるワッフルをはじめ、七福神で縁起の良い人形焼き、鋳型で丁寧に焼いていくかわら煎餅や有平巻、吹き寄せ、おかきなどロングセラー商品がそろう。ワッフルは常時4種が並び、レギュラーのジャムとカスタードに、雅紀さん考案の抹茶やさくらあん、チョコレートなどが入れ替わりで登場する。価格は税抜きで130円から。
現在、雅紀さんの楽しみは、定休日の夜から出かけていく、釣りとゴルフ。正巳さんは麻布十番に飲みにいくこと
住所:港区麻布十番2-4-9電話:03-3451-8918
営業:09:30〜19:00
火曜日定休日
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