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十番ばなし

麻布十番の店主が語る 十番ばなし #027 「萬力屋」 川合 俊彰さん

麻布十番商店街の中ほどでレトロなインテリアが目を引く中華料理店・萬力屋。人気の高い担々麺や餃子をはじめ、カジュアルなチャイニーズが楽しめて、幅広い年齢層に愛されている。店主の川合さんにお店のこと、これからのこと街のことをうかがいました。

 

 

 

当たり前のことをずっと続けていけるのが力です

 

 

―いつも賑わっている萬力屋さんですが、オープンしたのはいつ頃ですか。当時と今で変わっているところはありますか

 

1999年にオープンしたので、2017年で18年目になります。
基本的には店はその頃と変わっていません。お客様の層も変わってはいませんが、東日本大震災やリーマンショックなどの社会的な要因で、一時的に変わることはありました。
メニューもほとんど同じなのですが、お客様を見ながら変えたものもあります。例えば「ラーメンの具を入れないで」というリクエストが多く、代金をいくらいただくかも悩んでしまうので、じゃあメニューにしてしまおうということで「ラーメン(500円)」を加えました。好き嫌いなどの理由で食べられないものが多い、外国人のお子さんのために始めたんです。

 

 

 

―麻布十番の街らしい話ですね。お店の特徴はどんなところでしょう

 

外国人のファミリーのお客様が多いのは特徴だと思います。なぜでしょうね、麻布十番という場所柄もあるかと思いますが、外国語の雑誌によく掲載されているというのも関係あるかもしれません。韓国のガイドブック、在日外国人向けの英語の情報誌、オーストラリア人のシェフの推薦で、オーストラリア国内だけで販売する雑誌にも掲載されてます。特に取材されたわけではないのですが、いつのまにか載っているものも多いです。
外国人に限らず、家族連れのお客様は多い感じががしますね。
それから洋酒、特にウィスキーが揃っているのも特徴的かもしれません。ワインや日本酒はそれほどじゃないんですが、ウィスキーだけで15種類以上あります。自分が好きなので自然とそうなりました。

 

 

 

―カウンターはお酒がたくさんあって独立したバーのようですね。店内でかかっているBGMも気になるんですが…

 

10年位前から、昼は昭和の歌謡曲、夜は60〜70年代くらいの古い洋楽をかけています。自分の趣味というのでなく、新しい曲は店の雰囲気に合わないのでそういう選択をしています。
有線ではなくCDでかけるという契約をJASRACとしてるんですが、忙しい時は同じCDがリピートしていることも。それと当時のアイドルの方がたまたまいらっしゃることもあって、いたずら心で本人の曲をかけたりすることもあります。レコードやCDはお客様が、「処分しようと思ったけどこちらに持ってきた」といただくことも結構あるんですよ。

 

 

 

 

麻布十番の街では古いものを守っていってほしい

 

―お店をやっていてよかったと思うのはどんな時ですか

 

こんな風にお手紙などが来ることがあるんです(写真)。この手紙にあるヌードルマンていうのは僕のことなんですけど、3年くらい5人で通ってくれた家族がオーストラリアに帰国して、1年ぶりくらいで北海道にスキーに来た時、わざわざ寄ってくださったんですね。他にも香港に帰国したお客様が日本に来る度に寄ってくれたり、アメリカから出張に来るたびにいらしていただく方もいます。こういう人間同士の付き合いができるのはうれしいですね。

 

 

 

―麻布十番の街らしいお話です。まもなくこの街に20年になるわけですが、街に望むことは?

 

古いものを大切にする街であってほしいですね。どこにもあるチェーン店ばかりの街ではなくて。
それから以前あった麻布十番温泉のように、そこへ行くために麻布十番にまた行きたいと思うようなスポットがあるといいですよね。浅草でいえば浅草寺のように、酉の市なんかのイベントがあったり、そこを中心に街がまわっているようなベンチマークになる場所です。

 

 

 

―確かにグルメスポット以外にそういう場所があるといいですね。最後にお店の今後について教えてください

 

商売ですから奇をてらったことをやるわけでなく、熱い料理は熱く、冷たい料理は冷たく、店内は清潔に保つというように、当たり前のことを当たり前にやる。毎日同じことですが、それを保っていく、飽きずにやり続けることが力だと思います。
例えば更科堀井さんなんかのように、伝統っていうのは20年、30年でできることじゃないですけど、同じ商売を代々続けているというすごさを感じます。そこまでじゃなくても、毎日同じことを繰り返しながら長く続いていければと思います。

萬力屋 麻布十番

 

萬力屋 麻布十番

アンティークの家具や昭和のレコードジャケットなど、インテリアも雰囲気のある店内では麺類や棒状の餃子をはじめ、いろんなメニューが楽しめる。とんかちで割って入れてくれる、かめだしの紹興酒もおすすめ。
休みの日には自宅で庭いじりをしているという店主の川合俊彰さんの最近の楽しみは成人した娘さんとお酒を飲むことだそう。

 

住所:港区麻布十番2-3-2
電話:03-3452-5510
営業:11:30〜14:30 17:00〜22:30
不定休

» 公式サイト内お店情報はこちら

 

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