麻布十番の店主が語る 十番ばなし #029 「月島家」 衣笠 紀代子さん | 麻布十番商店街

十番ばなし

麻布十番の店主が語る 十番ばなし #029 「月島家」 衣笠 紀代子さん

新しいものと古いものが同居するのは、麻布十番の魅力のひとつ。そんな街の魅力を体現しているといわれるのが、焼きたての今川焼で知られる月島家さん。昭和26年に、麻布十番商店街に「十番ミルクスタンド」として開業した月島家さんの長い歴史と、街のことなどをおかみさんの衣笠紀代子さんにうかがいました。

 

 

 

これからもできるだけお店に立とうと思います

 

 

―紀代子さんはピンクの帽子がトレードマークですね

 

紀代子: この帽子は、お客様がくださるんです。14,5年前、大阪からマッサージの勉強をしに来た学生さんが店に来たんですが、いなりもおにぎりも売切れでした。お腹が空いていたみたいで、自分用の夕飯をあげたんです。それからの付き合いで、有名人も通うマッサージ店を経営する今も、ピンクの帽子を買ってくれるんですよ。

 

 

 

―麻布十番に息づく人情を思わせます。月島家さんはいつ頃創業したんでしょう

 

もともと自転車屋をやっていた義父が、兵隊から戻った時、親戚の世話で麻布十番に牛乳とトーストを出す〝十番ミルクスタンド”という喫茶のような店を昭和26年に始めました。その頃、電機メーカーに勤めていたお父さん(夫の峰且さん)と私は職場結婚しました。お父さんが2代目になる時、製造販売をするためいなり寿司やのり巻きの修業をして、29年に店を継いで、屋号も月島家と変えました。

 

 

―店名も変わったんですね。商品にはどんな変化があったんでしょう

 

今川焼は義父の代からありました。健康にいいから砂糖を黒糖に変えたのは1970年頃で、1代目と2代目とみんなで一緒に工夫して風味も良くなりました。
それと麻布十番にしかないものを作ろうって考えたのが“出世いなり”。健康食品のしいたけと、先が見通せて明るいという縁起を担いで蓮根を入れて、名前を考えて。それが知られて議員さんが買いに来たり、受験生の夜食に買う方がいたり、ご自分が頑張ったんでしょうけど、合格した、出世した、と感謝されることもあるんです。

 

 

 

 

 

 

 

時代とともに看板商品が変わっていきました

 

―お店をやるうえで心がけているのは

 

明るく、笑顔でいること。登山する人が集まってくる山小屋の灯みたいに、明るいほうに人は集まると思うから。人間いつも冷静でいられないけど、店では笑顔でいようと心がけています。

 

 

 

―いつもお店の前は人がいますよね。麻布十番の街のシンボルといわれてます。街への想いを聞かせてください

 

何十年も道路工事をしていたけど、地下鉄ができて街がきれいになりました。お菓子店も増えました…。みんなお店がきれいでうらやましいです。うちは派手に儲かる仕事じゃないから、改装できないんです。でもねお客さんから、十番に来てこの店に来ると、余所行きじゃなく入りやすい、ほっとすると言われるんです。そういわれると嬉しいですね。

 

 

 

―これからの麻布十番の街に望むことはありますか

 

人が大勢集まるような場所、そこを目的に来る所、ボウリング場とか欲しいですね。麻布十番温泉が残っていればよかったですね。お父さんもいつも行ってて、息子なんて赤ちゃんの時から行ってましたよ。

 

 

 

―今、その息子さんとお店をやってらっしゃいますね

 

お父さんが足が悪くて入院してて、明日退院なんです。その間、息子が主にやってくれています。別の仕事をしていたけど、私が膝を悪くして手術した5,6年前、仕事を覚えてもらいました。脳梗塞もやりました。その時は本当にダメかと思ったけど、お客様と話すのが好きで、唄が好きだったから、リハビリを頑張って、やっとここまで回復したんですよ。
やっぱりできる限りお店に立ってようと思います。これから後の店のことは息子が考えてくれると思います。孫も小学生になったことですし。

 

 

 

―月島家さんはあるとほっとする存在ですよね。最後に3代目を継ぐ息子の宏樹さんに、これからの月島家についてお聞きします

 

宏樹:売り上げや効率を考えると、自分が中心になって店を営んだほうがいいとは思うんですが、早く引退すると両親の生きがいがなくなるし、元気でいてもらうには親子3人でやるのが、今は最良と思っています。先のことは徐々に考えます。両親が焼いている姿を見て、麻布十番の街を感じていただくお客様も多いので、元気なうちは店に立ってもらいます。

月島家

 

月島家

今川焼、小倉あん、カスタードクリーム、チーズ、各140円。夏はかき氷(330円)も登場する。おにぎりは1970年代からスタート。すべて手作りで添加物を加えないので、子供のいるお母さんや外国人のファンも多い。テイクアウトまたは店の前の赤いベンチでもいただける。今川焼の小倉あんに押された寿の焼き印も縁起物として重宝されている。紀代子さんの趣味は民謡。なんと50年も続けているそう。

 

住所:港区麻布十番2-3-1
電話:03-3452-0991
営業:11:00〜19:00
火曜休

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