麻布十番の店主が語る 十番ばなし #010 「和菓子司 亀澤堂」 葭原 広生さん | 麻布十番商店街

十番ばなし

麻布十番の店主が語る 十番ばなし #010 「和菓子司 亀澤堂」 葭原 広生さん

和菓子の伝統を守りながら 新しいものもとり入れたい

 

 

 

―昭和7年創業の亀澤堂さんのこれまでで、葭原さんの印象に残ることはなんでしょう


場所は近くですが、30年前にここへ越したことですね。バブルの頃で、以前は店ももっと広くて喫茶コーナーもあった。今でも一卓ある席で召し上がっていかれるお客様もいます。

 

 

―イートインのお店は増えましたよね。葭原さんが3代目になってお店を変えたところは?

 

ベースは変わっていないと思います。でも時代に合わせてお菓子の甘さは控えめにしました。それと洋菓子の要素をとり入れたり、新しい和菓子を増やしています。

 

 

―お正月のお餅はずっと作ってらっしゃるそうですが、毎年どのくらいの量を

 

お米でいうと3俵くらいです。それをほぼ一人で、お米を研ぐことから始めます。一年でいちばん忙しい時季ですね。だから12月の20日過ぎからは体調管理に気を遣って、風邪などひかないように、忘年会や飲み会も断ったり、顔だけ出して帰ったり。25日を過ぎると31日までは出かけません。(笑)

 

 

―大変さがうかがえます。店を運営するうえではどんなことを心がけていらっしゃいますか

 

季節感を出すことです。季節の花やクリスマス、お節句などでディスプレイを変えます。お菓子は1月なら松竹梅の練切り、6月はあじさいなど、季節を感じられるものを並べて。それと時間があれば和菓子屋やデパ地下、コンビニにも行って研究して、新しい商品のアイデアを練ります。

 

 

―最近の和菓子に関して、変わったなと思うところを教えてください

 

お客様から「つぶあんの白い柏餅ないですか」と言われたんですが、柏餅は外が白いのがこしあん、よもぎが入っているとつぶあん、みそあんは外が黄色か赤系というのが和菓子の常識だったので、それを説明したんです。でもコンビニで見たら、つぶあんの白い柏餅を売ってて。さらに串に刺さってないみたらし団子も売っているんですよね。

 

 

―でも外の色で柏餅のあんがわかったほうがいいし、みたらし団子もやはり串にささっていてほしいです

 

そうですね。いい伝統は引き継ぎながら、時代に合わせたお菓子もつくりたいんです。今研究しているのは、昔あった大根の砂糖漬けのお菓子です。古くてもいいものは復活させるし、いいものをなくさないようにすることも大切に考えています。

 

 

 

 

 

繁華街とまではいかないままで 活気のある街に

 

 

 

―葭原さんは子供の頃から麻布十番で遊んでいたわけですが、町の変化をどこで感じましたか

 

アーケードがなくなったことは大きかったかな。子供の頃はそこでキャッチボールをしたり、排水溝のような所にボールをぶつけると埃が落ちてくるので、わざと友達が通る時にボールをぶつけていたずらをしたり、色んな遊びをしてたから。それとこの辺は坂が多いから、鳥居坂なんかで信号のタイミングを見計らっては、自転車で一気に降りたりしていました。今は車も人も増えたから考えられないですけどね。

 

 

―色んなところが変化しているんですね。今の街でいいと感じるところを教えてください

 

いいところは、繁華街になりすぎていないので安心できるところだと思います。また地元の商店が多いので、商店主の気持が住民の気持として反映されるところも。例えば麻布十番にあるコンビニは、あまり派手な看板を出していないのですが、これは街の景観や雰囲気を壊さないようにお店に協力してもらっているんです。

 

 

―コンビニが街にとけこんでみえるのはそういうわけなんですね。では最後に葭原さんの考える麻布十番の街のこれからを

 

繁華街とまではならないで、もちろんシャッター街にもならないよう活気は失わないで、子どもから老人まで幅広い年齢層が来てもらえる街にしたい。個性のある店が多いことがこの街の魅力ともいえるし、そこを大切にすることで、さらに麻布十番に人が集まるんじゃないかと思います。

 

 

 

 

 

和菓子司 亀澤堂

 

和菓子司 亀澤堂

昭和7年に麻布十番で創業し、現在の葭原さんで三代目。歳時記などで変わるディスプレイは、街ゆく人々を和ませてくれる。麻布十番のお土産物なら、小豆あんをぎゅうひで包み、ケシの実をたっぷりまぶした香ばしい麻布遊と、ほんのり桜色がかわいらしい白あん入りの十番餅がおすすめ。夏はかき氷がある。

港区麻布十番1-11-11
TEL:03-3589-4371
10:30~19:30
火曜休

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