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私が麻布十番でお店を始めたわけ ギャラリー編

数多くの名店が集まる麻布十番。老舗から新店舗まで個性豊かなお店が軒を連ねています。そんな魅力いっぱいのお店が、なぜ麻布十番にお店を開くことになったのか、どのような思いでお店を運営しているのかなどをインタビューしていきます!

 

第1弾は、1989年から麻布十番でギャラリーを運営している「ギャラリー・ラ・リューシュ」のオーナーである牧浦泰子さん。牧浦さんはなぜ、麻布十番でギャラリーを始めたのか、またどのようなギャラリーなのかをお伺いしました!

 

 

牧浦泰子さんと麻布十番の出会い

けやきの木が印象的なパティオ十番の目の前にある、クリスティーフジというビルの2階にある「ギャラリー・ラ・リューシュ」。1989年に牧浦泰子さんがオープンしたギャラリーです。

 

 

牧浦さん「ギャラリーを始めようと思って、物件を探していました。実家が銀座で画廊をやっていて、昔からアートがあることが当たり前の環境で育ちました。パリでアートの勉強をして帰国した時に、父から一人で何かしてみたらと言われて、ギャラリーを開きたいと思っていたので探していたところ、この場所に出会いました」

 

1988年に新築で建てられたクリスティーフジ。2階の大きめの窓からはパティオ十番のけやきの木が見え、まるでフランスのモンマルトルにいるような雰囲気でした。石畳の街並みもフランスを思い出させ、一目で気に入ったと言います。

 

 

牧浦さん「当時はパティオ十番で絵を描いている人とかもいて、本当にフランスのようでした。雨が降ると、けやきの木から雨の雫が滴る姿もとても美しくて…。このビルの窓からはそんな素敵な風景が、今でも見えるんですよ」

 

当時は麻布十番駅がなく都会の孤島と言われていた、この街の便の悪ささえも面白いのではと感じたそう。こうして牧浦さんは1988年に このビルの1階と2階を借り、お店を始めることにしました。

 

 

ベルナール・カトランの作品を常設展としたギャラリー。麻布十番に誕生

晴れてビルの1階と2階を借りた牧浦さんですが、もう少しアートの勉強をしたいと思い、すぐにギャラリーを始めず、1階にケーキ屋、2階にフレンチ・レストランを開きました。しかし1989年、ケーキ職人が地元でお店を出したいという夢を叶えるため退職することに。それを機にケーキ屋は閉めて、ついにギャラリーを始めました。

 

牧浦さん「ギャラリーを開くなら、ベルナール・カトランの作品を常設展にしたいと決めていました。当時の日本にはなかった派手な色使いをする彼の作品にとても惹かれました。また、カトランは父の知り合いだったため幼い頃から付き合いがあり、私がフランスにいた時もとてもお世話になった人でした。ギャラリーを開くなら泰子のために頑張って描くよ、とカトランも言ってくれていていたので、迷いなく始めました」

 

 

ベルナール・カトランが描いた、牧浦さんの肖像画

 

 

カトランは油絵とリトグラフ(石版画)を制作しており、油絵は銀座の画廊で出していたため、牧浦さんのギャラリーではリトグラフを中心に展示することになりました。

 

牧浦さん「徐々にカトランの作品の知名度が日本でも上がり、油絵なら銀座、リトグラフなら麻布十番のギャラリー・ラ・リューシュと言われる時代になりました。その後さらにカトランの絵は人気になり、パリに買い付けに行くギャラリーや画廊が増えていきましたね」

 

 

時にビルの1階も2階もギャラリーにしてみたりと形を変え、2002年に今の形に落ち着いたという牧浦さん。今は、1階がフレンチ・レストラン、2階がギャラリーとして営まれています。

 

 

大使館の人々も多く通うフレンチ・レストラン

6年間フランスのお店で修行された小暮清シェフとシェフの奥様が二人で運営する、1階のフレンチ・レストラン「ラ・パレット」。14席ほどのこぢんまりとしたお店には、カトランの絵も飾られており、高級すぎず、ラフすぎない雰囲気で多くの地元客に愛されているレストランです。

 

 

小暮さん「海外に行きたいという思いがあり、縁あってフランスに行き、そこでフレンチを学びました。フランスにあるさまざまなお店で働き、日本でもフランス料理を続けています。牧浦さんのお父さんと知り合いで、麻布十番でシェフをやることになりました」

 

常連が多く、ランチもディナーも予約をしないと入れないという人気っぷり。麻布十番の土地柄、大使館で働くお客様も多く国際色豊かだそう。

 

牧浦さん「私はフランスに住んでいて、本場のフレンチを食べていましたが、小暮さんのフレンチは本当においしい。お店に飾られているカトランの絵をみながら、おいしいフレンチが味わえて…。小暮さんのフランス愛も感じられ、とても良いお店です」

そんなラ・パレットの看板は、カトランがオリジナルで作ってくれたもの。麻布十番のフランスのような街並みが、フランスを愛する人々とフランスの画家を繋げてくれたといえるでしょう。

 

 

ベルナール・カトラン作の看板

 

 

麻布十番の魅力を紡ぎながら、このままのスタイルで行けるところまで。

ギャラリーを始めて約34年。今も常設でベルナール・カトランを展示し、年に8回ほど企画展を行っているギャラリー・ラ・リューシュ。ガラス、写真、彫刻、やきもの、ジュエリーなどさまざまな企画展も行っています。

 

 

牧浦さん「素敵なアーティストがいたら企画展にお声がけしますし、2年に1回ほど定期的に企画展を行うアーティストもいます。インターネットでアートが簡単に見れる時代ですが、今も足を運んでアートを見にくる人々が、近所からも遠方からもいらっしゃいます」

 

フランスのモンマルトルに迷い込んだような風景が、今もなお窓から望めるギャラリー・ラ・リューシュ。ぜひカトランが描いた作品や、さまざまなアートに直接触れに。また、フランスを思わすような空間を味わいに訪れてみてはいかがでしょうか。

 

住所  〒106-0045 東京都港区麻布十番2-13-2 クリスティーフジビル
電話番号 03-3452-0800
営業時間

11:00~19:00

定休日

不定休

主な取扱商品

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