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十番ばなし

麻布十番の店主が語る 十番ばなし #005 「ケーワイ堂靴店」山田 光夫さん

足に合う靴をわかってもらえるのが接客の喜びです
足に合う靴をわかってもらえるのが接客の喜びです

 

 

 

―ケーワイ堂さんは子供靴を揃えていらっしゃいますが、今はどんな靴の人気が高いのでしょうか。また子供靴を扱っていて感じることなども教えてください

 

今、圧倒的に売れているのは『瞬足』と『バネのチカラ』という、速く走るための靴です。それに『ニューバランス』などの靴も人気がありますね。

接客していて感じたのは、小さい靴を履かせている親御さんが多いこと。すると子供の足の指が靴の中で丸まってしまう。ウチに来てサイズを計って、合う靴をおすすめすると「うちの子、小さい靴を履いていたんですね、初めてわかった」っていうお客さんが結構いらっしゃる。反対に「子供が、この靴は足が痛いっていうので、もっと大きなサイズを買いに来た」という方もいて。足の長さを計って、よく見てみると、実際は履いている靴が大きすぎて、脱げないように歩くからおかしな歩き方になったり、足が痛くなったりしているんですね。足の形や土ふまずなどについてもこちらがきちんと足を見て説明することで、足に本当に合う靴がわかってもらえるとうれしいです。

 

 

―お店に置く商品を選ぶ際には、どんなことを意識していらっしゃいますか

 

婦人靴は、女房が実際に試してみて履きやすいかどうかを基準にして商品を選んでいます。子供靴は、私の小学校3年と6年生の孫がその靴を履くかどうか、また履きやすいかどうか、これを考慮して仕入れしていますね。それから雑誌もたまに見るし、展示会へもよく行って、問屋さんに話を聞いたり、人気のあるもののリサーチもしていますよ。

 

 

―ところでKY(ケーワイ)堂という店名は、皆さんに興味をもたれると思いますが、これはどんな由来が?

 

店は昭和29年に妻の父が創業しました。店名はその義父のイニシャルをつけていますね。2007年の第一次安部内閣で、“KY(空気が読めない)首相”、といわれて流行した時は、テレビ局から取材の申し込みがあったり、通りがかりの子供たちに「KYだ、KYだ」と騒がれたりしました。

 

 

―“KY”は流行りましたよね。現在は、子供と婦人の靴に特化しているということですが、開店時から?

 

最初はごく普通の靴店でしたが、私と女房の代になってから80年代に、主に婦人用のハイヒールとドレスを扱っていました。この店で靴を履きかえてから、銀座にタクシーで出勤するというサービス業の方が多く住んでいた時代があり、常連さんが結構いたんですよ。それが時代とともに住人や志向が変化していって…。外反母趾が問題になったのと、私の孫が成長してきたこともあり、4年ほど前に、子供の靴と、足に優しい、歩きやすい婦人靴のみを扱う店に変えました。決心も必要でしたが、それよりも、自然とそういう流れになっていったんじゃないかな。

 

 

 

 

 

時代の空気を読みながらニーズに応える店に
時代の空気を読みながらニーズに応える店に

 

 

 

―これからどんな店にしていきたいとお考えですか

 

そうですね、店の名前は「KY」ですが、接客も経営も時代の“空気を読んで”、その時のニーズに応えながら品ぞろえをして、このままのかたちで続けていきたい。今もそう心がけていますが、お客様の好みを聞いて、足に合う履きやすい靴をおすすめできるよう細やかに接客をしてね。孫の代になると時代や状況は色々と変わっているかもしれませんが、私たちが長く頑張って、孫たちにお店を引き継いでもらえたらそれがいちばんですね。

 

 

―最後に山田さんが考える麻布十番の街の理想を教えてください

 

麻布十番の街の魅力はアットホームなところだと思います。それをしっかり保ちながら、この街に来れば何でもそろうという安心感をもってもらえる街になればいいんじゃないかな。例えばスイーツのお店が沢山あるように、靴店も4,5軒あっていいと思うんです。この街ならば何か欲しいものが見つかる、そんなイメージをもたれればいいのでは。それにはそれぞれが個性を出してお客様を引きつけられる店になることが大切なんじゃないかと思います。

 

 

 

 

十番ばなし「ケーワイ堂靴店」

 

ケーワイ堂靴店

歩きやすく、足にやさしい婦人靴と、子供靴を専門に扱う60年の歴史をもつ靴店。ていねいな接客とアドバイスに定評があり、常連さんも多い。子供が少ない印象の港区は、実は子供の数が増加しているのが実情。近隣の子供連れのほか、遠くから車で来るお客さんも。
港区麻布十番2-4-4
TEL:03-3798-1807
11:00~20:00火曜休
»店舗情報はこちら

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